ロータリークラブの歴史

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ロータリーのルネッサンス始まる 〜つづき〜

次に登場して来るのはアーサー・ F ・シェルドンであります。

第 2 回全米ロータリークラブ連合会は、 1911 年ボートランドで開催されま した。この大会にシェルドンは所用の為に欠席しましたが、友人にメッセージ を託して大会で発表するように依頼しましたところ、彼のメッセージが読み上 げられると万雷の如き拍手をもって迎えられるところとなります。『経営の科 学とは奉仕の科学のことを言う、すなわち、 He profirs most, Who Serves best( 最も多く奉仕する者に最大の報償がある〉』

今日に至るまで、ロータリーの職業奉仕の標語として生きている文句であります。

商売は他人に対する奉仕、社会に対する使命である。取引きは売り手と買い手の双方の満足が必要。

商売繁盛の真髄は信用の蓄積である。このシェルドンの提唱は我が国明治大 正期の偉人渋沢栄一翁の『士魂商才』ということでありましょうか。

シェルドンの卒業したミシガン大学の経営学料は、従来からあった企業経営 の理論に真向から挑戦した革新的経営理論を教えていたので、ミシガン学派と 称せられていたといわれています。

企業経営は戦争である。戦争とは相手に勝つ為に行なうものである。従って 勝つ為には手段を選ばない。されば、相手の弱身につけ込むことも必要であり、 相手を叩きつぶす謀略もまた許されるべきである。

このような考え方が基本になっているのが正統派と称されていた。それまで の企業経営理論であるといわれていました。

これに対しシェルドンの理論は、企業は世の為人の為になってこそ存在価値 がある。徒らに利己中心の儲け主義に徹することは、やがてその企業の衰退滅 亡につながるものである。同業者との協調、社会的評価の信頻度が高くなって、 その企業は長親繁栄を得ることが出来る、とするものであります。 1911 年の ボートランド大会で、シェルドンの  He profits most Who Serves Best の提 言は、大会決議委員長ジェームス・ E ・ピンカムによって、ロータリー宣言の 最後に加えんとの提案となり議決されたのであります。

この後に、ミネアポリス R ・ C の初代会長フランク・ E ・コリンズが演壇に立って、
『われわれは直ちに行動を起すべきである、自己の利益のためにロータリー に入会した会員は間違った会員である、ロータリーは利己の為のものではない、 わがクラブでは創立以来一貫して採った原則がある“奉仕は自己ではない" Service not self ということである』 Service not self は余りにも自己犠牲 的であり宗教的に過ぎる、ということからか、現在では

Service Above Self となっていますが、いずれにしても、ロータリアン がその職業生活に際して思考すべき標語となって、今日に至るまで 67年間に 亘って、 2 つの標語は生きつづけている訳であります。

ここのところの記述が少し長くなりましたが、 1911 年のボートランド大会 は、ロータリー 75 年の歴史の中の大さな節目に当るのであります。

ポール・ハリスの著書によると、初期ロータリーのルネッサンスは 1913 年 まで続いたことになっていますが、親睦の中から奉仕の心を会得するという 『奉仕派』の姿勢は漸やく、全米ロータリアンの間に浸透しつつあったと見る べきでありましょう。

ロータリーの職業奉仕の概念を説く場合、前に述べた 2 つの標語のほかに、 もうひとつ忘れてはならない論文があります。それは 1916 年サンフランシス コ大会で採沢議決された『職業人を対象とする倫理訓』 Code of Ethice であ ります。倫理訓は 11ヶ条からなっており、文言は極めて程度が高いといいま すか、純粋な高次元の理念が述べあって、箇条の中には宗教的な訓えに過ぎる のではないかと思われるような文言もあります。

そのせいでもありましょう。国際ロータリーの理事会では、これまで幾度と なくこの倫理訓の取り扱いについて悩んでいるようであります。その経線は余 り長くなりますので他日にゆずることにしまして、 1978 − 79 年度理事会で は、規定審議会のこれを生かすべきであるとの決議をうけて、この 11ヶ条の 倫理訓の文言を部分改訂の必要ありや否や、元の侭の文言をもってロータリア ンの関心を奨励すべきか否かを検討しているということであります。

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